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話題がないので、ちょっと宣伝

話題がないからFantasic Companyで私が連載している作品の紹介でも。

今回紹介するのは私が独自に行なっているクロスオーバー作品『ポケットモンスター カオス&パニック』です。

この作品、私が代理執筆者として、作中の世界に参加してくれる作品を応募して始めた企画でした。
当初の予想より色んな人が見て、応募してくれたことで、色んな人物たちが登場しましたね。
というわけで、以下はその最新話です。

ちなみに最初から読みたい方は↓のアドレスからどうぞ。
ポケットモンスターカオス&パニック






















ポケットモンスター カオス&パニック










第19話『架け橋』












フィーナ 「はぁ……はぁ……はぁ……っ!」



私たちラスフォルトは走っていた。

突然のレイクリッド王からの召集。

緊急事態ならば城の警鐘が鳴り響くだろうけれど、今回はそういった様子はまるで無くただ緊急招集だと兵士さんが呼んできただけ。

私たちは誰もが不審に思ったけれど、まずは王の下へとということで走って向かっているのだ。



街へと入り、街の大通りを通って城の前へ。

ようやく城の門を超えたところで、一旦足を止めて一休みする。

男性の人はともかく、私たち女性には結構辛い距離を走らされた。



フィーナ 「はぁ……はぁ……はぁ……!」



ネロ 「ふぅ……お前等、すぐ行くぞ」



モトキ 「了解です」



シュン 「……はいはい」



それぞれ息を整えると続々と城の中へと入っていく。

私たちは城の二階にある謁見の間の前に差し掛かると、ネロさんが代表で扉の前に立つ。

一度振り返りあける準備の確認を取ると、私たちはコクリと頷いた。



ネロ 「ラスフォルト部隊隊長代理ネロ、及びラスフォルト隊隊員一同入ります」



そう言ってネロさんは扉を軽く押した。

ギィィ……と音を立てて開く重厚な木製の扉。

そしてその先にいたのは玉座に座るレイクリッド王と見知らぬ一人の女性。



レイクリッド 「ああ、よく来てくれた」



アイヴィ 「……」



フィーナ (なに……この怪しい人)



私は女性(?)を見て、訝しげに思う。

その女性は女性だと言うのに黒の燕尾服を纏い、素性をさらすのをためらっているのか顔を仮面で覆っていた。

こちらに気づくと一瞥し、一歩後ろに下がる。

まるで執事のようなその身なりと挙動は更に怪しく感じる。

そして違和感……たぶんこの人は。



メフィー 「ラスフォルト……?」



ぼそりとメフィーが呟いた。

誰もがそう思ったのではないだろうか?

この世界では燕尾服なんて見たことが無い、生活概念が違うのだから無いのは当然だろう。

さらにその気配が……人間的じゃない……そう感じたのだ。



レイクリッド 「君たちを呼んだは他でもない……実はだね」



アイヴィ 「それについては私が話しましょう」



シュン 「失礼とは思うけど、先にあなたのことを知りたいね……鉄仮面の女性さん?」



シュンさんは明らかに怪しいと感じてか、警戒心を見せて挑発するように女性に言った。

その女性……普通の神経をしているのなら、誰が見ても怪しいと思うと思う。

なんせ、どう見ても女性なのに男物の燕尾服を着ているし、しかも面が割れるのを嫌っているのか鉄仮面をかぶっているのだから。



女性は少し考えると、言葉を選んでかまずは謝罪の言葉が入った。



アイヴィ 「これは失礼、私はアイヴィ、『誓い』の一人」



フィーナ (誓い?)



アイヴィという女性はその場で手を腰に当て、ペコリとお辞儀をすると、組織名と思われる名前を出した。

『誓い』という名の組織……エリュクスやミラルドの間者かと思ったけど、そうではないのかな?



スズ 「その誓いとはなんだ?」



後ろで比較的息を切らしていないスズさんが、気になっては質問する。

女性は無感情に(といっても仮面をかぶっているのだからわかりようはないが)頭を上げると淡々と話し始めた。



アイヴィ 「これ以上無益な戦いを繰り広げて欲しくないと願う者たちですよ」

アイヴィ 「もう質問はよろしいですか? それでは話させてもらいますよ?」



私はクルリと首を回してラスフォルトの皆を見る。

とりあえず、言いたいことはありそうだが、そこは我慢して話を進める方向のようだった。

アイヴィさんも皆が口を閉じていることを確認して語りだす。



アイヴィ 「我々誓いは現在のこの世界の状況に憂いております。この世界には長きにわたる戦乱が続き、土地は荒廃し、人々はただ傷つくだけ」

アイヴィ 「特にこのティファ地方の被害はひどい……それでもなお世情は戦乱を望んでいます……だが、そこになんの意味があるのか?」



フィーナ 「! 失礼ですが、アズナードは戦争なんて望んでいませんっ!」



私はアイヴィさんの言葉を聞いてカチンとなって言い返した。

ようするにアイヴィさんが言いたいのは、アズナードが暴れた性で、このティファ地方は土地も人も苦しんだといいたいんだと思う。

それは間違ってないし、私たちだって苦しんでいる。

でも、だからこそあの戦争は早く終わらせようと頑張った、それをただ非難するだけなんて許せない。

私が……じゃない、私よりずっと前……ずっと、ずっとずっと頑張ってきたメフィーやシュンさん、そしていなくなっちゃったシズクちゃんに失礼すぎる!



アイヴィ 「……やれやれ、これは失言でした。ですが……民衆はエリュクスへの報復を望んでいるようですよ?」



フィーナ 「……え?」



私はその言葉に驚く。

そんな馬鹿な……王都襲撃事件は公にはされていないはずなのに……。

私はチラリと現国王であるレイクリッド様を見る。





レイクリッド 「……」



レイクリッド王は俯いて何も言えず苦しい顔をしている。



アイヴィ 「ふふ、私が居た世界には壁に耳あり、障子に目ありという諺がありましてね、秘密事は漏れる物ですよ」



そういうことか……私はなんとなく納得した。

たしかに、あの襲撃事件では皆エリュクスの非道な行為が許せなかった。

でも……それでもあの戦争の悲惨さを続けたくないから私たちは我慢出来た。

でも、他の兵士やまして戦いを知らない民衆はそんなこと知らない。

でも、エリュクスと戦えばアズナードにもどれだけの被害がでるか……今度こそ本当に分からない。



アイヴィ 「事の深刻さ……少しはわかりましたか?」



フィーナ 「……はい」



私は意気消沈してそう言った。

それを聞くとアイヴィさんは話を再開する。



アイヴィ 「ですから……我々誓いは、三国間の同盟話を持ちかけました」



モトキ 「三国同盟?」



アイヴィ 「アズナード王国、ミラルド共和国、エリュクス帝国は現在国力も拮抗し、戦争が起これば多大な影響が出ることがわかります」

アイヴィ 「そこで我々誓いは三国に間者を送り、この同盟話を持ちかけたのです」

アイヴィ 「正式な会談はひと月後、三国の国境線を挟む交易都市ムレオリアで行われます……どうか、前向きな判断をお願いいたします」



アイヴィさんは最後にもう一度頭を下ろし、その後もう一度今度はレイクリッド王に頭を降ろした。



ソウヤ 「同盟……それが成立すれば戦争は起こらないんだな?」



アイヴィ 「……皆さんの意思しだいですよ……この国だけじゃない、ミラルドにもエリュクスにもね……それでは」



アイヴィさんはそう言うと謹んで謁見の間を出て行った。

パタン……と謁見の間の大きな扉が閉じると、その場には静寂だけが残った。

皆がこれからのことを考えている。



メフィー 「え、えと……せ、戦争が無くなるのならこの同盟受けるべきだと思います!」



スズ 「賛成だ」



フィーナ 「うん、私もその方がいいと思う」



メフィーちゃんの意見は全くもってそのとおりだと思う。

これ以上戦争なんてしたくない、それが止められるならば受けるべきだし、この同盟にはまったくデメリットが無い。

だけど……何故か、私たち以外はまだ声を上げずに考えていた。



シュン 「同盟の案そのものは賛成だけど……安易に信用するべきじゃない」



ソウヤ 「シュンと同意見、そもそも誓いという組織そのものが怪しいしな」



シャミ 「いざ出向いて国王暗殺……というのでは洒落ではすまされんよ」



う……もしかして私やメフィーちゃんって予想以上に楽観視してた?

確かに言われてみればあのアイヴィさん事態が怪しすぎるし、他の国にこの同名話を持ちかけているかと言うとわからない。

もしかしたらエリュクスの間者で、レイクリッド王を誘い込んで暗殺する気なのかも……。



モトキ 「でも、肯定するんだったらこの話、すごいメリットだよ?」



ネロ 「同感だな……イマイチ信用はおけねえが、エリュクスとの対話が絶望的な以上、この話はアリだ」



賛成3反対3条件付き賛成2……か。

やっぱりこれはすぐに出せる答えじゃないみたい。



フィーナ 「えと……レイクリッド様はどうされますか?」



私は最終判断主であるレイクリッド王に答えを求める。

すぐには出せないと思うけど、まずは意向を聞きたかった。



レイクリッド 「私としてはこの話……願ったり叶ったりです。ですがシズクさんを失ってまでこのような形……本当に許していいのか、そういう思いもあります」

レイクリッド 「しばらく考えさせてください」



レイクリッド王はそう言うと玉座からたち上がり、玉座の裏から部屋を出て行った。

私たちは互いを見あって、一度謁見の間を出ることにする。









……………。









モトキ 「あのネロさん、訓練はどうするんですか?」



ネロ 「ん? 中止だ中止。俺は一旦屋敷に戻るがフィーナとメフィーは俺についてこい」



フィーナ 「あ、はい」



メフィー 「わかりました~」



何故か私たちが来るよう言われてしまう。

一体なんのことなのかさっぱり分からなかったけど、ネロさんが呼ぶということはきっと重要なことだろうね。



ネロ 「他は自由行動だ、晩飯までには帰ってこいよ?」



隊長代理がそう言うと私たちはそれぞれ思い思いに動き出した。

私とメフィーはネロさんにいわれているので大人しく屋敷へと直行する。











ネロ 「――おし、お前らバトルに使ったポケモンを外にだせ」



フィーナ 「あ、はい」



メフィー 「でてきて、メガニウム、オーダイル」



私たちは訓練で使ったポケモンたちを出した。

私たちは相当激しいバトルをしたのでポケモンたちも傷ついて元気がない。

あまりに突然アイヴィさんがきたから、忘れていたけどこの子たち大怪我だよ。



ネロ 「……ふむ」



フィーナ 「あの……どうですか?」



ネロさんは軽くポケモンたちの体を触診しながら見て回る。

致命的なダメージはないか心配になり私はネロさんに状態を聞いた。



ネロ 「命削るようなバトルをしていたから心配になった問題はねぇな、モトキが帰ってきたら治療を始める、まぁ2~3日は療養だな」



メフィー 「よ、よかったぁ……なんともなくて」



フィーナ 「ポケモンセンターがないのって本当に不安だよね、怪我したらすぐに治せないもんね」



改めて私たちがいた世界が、ポケモンバトルをする環境に適していることがよくわかる。

この世界では人間もポケモンも平等だ。

そういう意味ではある意味ポケモンには優しい世界かもしれないけど、私たちポケモントレーナーには本当に大変な世界になっている。

ダメージを受けたら回復は基本時間任せだし、ポケモンは道具を使うわけじゃないんだから、人間のような訓練はできない。

ましてバトルは寸止めでやっても意味がないし、本当にトレーナー泣かせな世界だと思う。



ネロ 「にしても、あの時のホウエンのポケモンリーグは改めてレベルが酷かったってのがわかるな」



フィーナ 「ああ~……そうですねぇ、ネロさんですら予選落ちですもんねぇ」



ネロ 「おまえらだって、普通の時代ならベスト4に入れるくらいだぞ? いや……さっきのバトルを見たら優勝だって狙えたかもな」



メフィー 「そ、そんなことないですよぉ、わ、私なんてまだまだで……」



メフィーは珍しく褒められたせいか赤面して顔を隠して照れる。

でも、やっぱりネロさんの実力を見ると、どうしても疑っちゃうよねぇ。

ネロさんなんか、入るブロックが違ったら間違いなく本戦出場できる位だったろうけど、まぁそれも運か。



ネロ 「お前らのポケモンもよく鍛えられている、お前らみたいな将来有望な若いトレーナーが多いのなら、あの世界は安心だろうな」



フィーナ 「でも……この世界ではその力は凶暴な武器」



私がボソリと呟くとネロさんはコクリと頷いた。

私たちが常に頭の隅から離してはいけない事項、それは私たち単体がこの世界から見ればそれ一つで大量の人間を虐殺できる殺戮兵器同然だということ。

ポケモントレーナーを育成する技術どころか、ポケモンと触れ合う文化すらないこの世界では強力なポケモンはそれそものが凶暴な野獣同然だ。

私たちはそれだけ凶悪な力を持つ存在を操ることに責任を持たないといけない。

この世界で私たちが暴走すれば、人の力だけでは止めることが出来ないのだから。



メフィー 「フィーナちゃん、私たちはポケモントレーナー……ポケモンさんにそんなひどいことはさせられないよ?」



フィーナ 「……うん」



メフィーちゃんは私の手を握るとニッコリと微笑んでくれた。

メフィーちゃんのその顔を見ると私はなんだか安心する。

そう、私たちはポケモンにそんなひどいことは絶対にさせない。

それがポケモントレーナーとしての義務。



メフィー 「……それに、フィーナちゃんには私がついてるよ?」



フィーナ 「メフィー……」



ネロ 「ああ……そのなんだ? お前ら健全な少女なんだから百合百合しいのどうかと俺は思うんだがな?」



突然私たちの世界に割って入ってくるネロさんに私たちは赤面した。

メフィーも慌てて握っていた私の手を離して、私から距離を離し顔面を覆う。



メフィー 「は、はふぅ~違うんですぅ~私たちは純粋に友達としてぇ~!」


フィーナ 「ゆ、百合百合しいだなんて、わ、私はめ、メフィーとは……そういう関係もいいなとは思うけど……!」



メフィー 「え? フィーナちゃん?」



フィーナ 「あ、あふんっ!? なんでもないです!」



私はつい爆弾発言をしてしまい、顔面を両手で覆ってその場でうずくまった。

は、はずかしい……。



ネロ 「……ああ、とりあえず良識ある大人としてはだな……自重しろ」



フィーナ 「……は、はい



私は小さく頷いた。

そうだ、自重しよう……あ、あくまでメフィーは友達としての付き合いだもん、そ、それ以上は……はふん。







ネロ (なんなんだか……)



なんだか蹲りながら悦に入るフィーナに俺は危険な何かを感じながら、フィーナとメフィーとポケモンたちをゆっくりと診察していった。

バクフーンとオーダイルのダメージが大きいが、こいつらこういうバトルに慣れているのか、比較的に問題は少ない。

頑丈なのも優秀な要素の一つだな、フィーナとメフィーのポケモンたちは怪我に強い耐性がある。

元々オーレ地方のバトルは荒々しい、初歩トレーナーに対しても容赦はないし、バトルに対する感性もシビアだ。

なんせオーレではバトルに勝てなければ死活問題だからな、そういう中で育てばフィーナやメフィーのポケモンもタフになるわけだ。

感心はできんが、こういうシビアな感覚は見習うべきなのかもしれんな。



ネロ (しかしポケモンリーグか、随分懐かしい響きだな)



もう、この世界召喚されて4ヶ月近くたつ……早期に召喚されたメフィーやフィーナたちはもう半年以上もこの世界にいるのか。

この世界は良くも悪くも人間を成長させるのだろうな。

うっすらと生前の記憶を探れば、フィーナもメフィーもこんなに強い奴らだというイメージはとても湧かない。

どこかバトルに臆病でいつも、誰かの後ろをついていくという頼りないイメージ。



だが、今やこの軍ではみんなを連れて先頭を行くような人物にまで成長した。

俺は……変われたか。

かつて、HP団に所属していた俺は故意ではないとはいえとある大量虐殺に加担してしまった。

どんな世界にもポケモンを悪用しようとする奴はいる……この俺がそのように。



なぜ一度死んだ俺がここにいるのか?

俺は召喚されてからずっと考えている。

俺があの女……ハルカを救ったことではまだ足りないか?

一度闇に染まったその業は、この世界で俺に何をさせようとしているんだ?



ネロ (ふ……もしあの研究をしていなかったらどうしてんだろうな。カレンたちと一緒に仲良く過ごしていたか……てことはねぇか、あいつらにはいつも厳しく接していたしな)



もし、もう一度あの世界で生をやり直せるのなら、まずはカミヤに謝るか。

ミカゲは産んだ俺を恨んでいるか?

Mチルドレンは責任以て接しねえと俺も報われねぇか。

やれやれ……俺はなんて問題だらけの男なんだろうなぁ。

きっと死んだら地獄行きは確実だろうな。









…………。









ソウヤ 「むぐむぐ……結構いけるな」



シャミ 「やれやれ……ある意味君の性格は羨ましいな」



城を出た後、私とソウヤは城下町を散策していた。

ソウヤはドネルケバブに似た料理を買い食いしていた。

あんまりにも肉の焼けるいい匂いがして我慢が出来なかった……というところだろうが、切り替えのできるのその性格は少し羨ましい。

あの話し合いの後、ソウヤはなにも感じなかったのか?

否、そんなはずはない。

ソウヤもなにかしら必ず感じたはずだ。



エンペルト 『御気楽なだけじゃないのか?』



シャミ 「それだけではあるまい、ソウヤは強いよ……力の話じゃない」



かつて、私とソウヤは殺しあった。

少なくとも、私はそう思っている。

実際ソウヤを本気で殺すつもりで戦ったし、ソウヤも加減ができるほどの余力はなかったはずだ。

実力で言っても私の方が上であったし、状況も……何もかもあの戦いは私に傾いていた。

だが……負けたのは私だ。

彼は……ソウヤは私には無い物を多く持っている。

それは例えば信念だったり。



ソウヤ 「お前も食うか?」



シャミ 「遠慮するよ、それよりもうすぐ夕食なのだから食い過ぎてネロさんに怒られないようにしたまえよ」



エンペルト 『シャミ……この国はどうなると思う?』



シャミ 「さて、それは私にもわからないよ……まぁどのような結果になろうと私が辿る道は決まっているさ」



リザードン 『……』



よくみると、ソウヤの肩に止まるリザードンがジーとこちらを見つめている。

何か言いたげだったが、特に口を開く様子はない。

しばらくカバブもどきを食べるのに集中していたソウヤがそのリザードンに気がついた。



ソウヤ 「どうしたリザードン?」



リザードン 「お前ら……変わったよなぁ……て」



エンペルト 『ふ、確かに我が主もお前の主も変わったな』



ふと、リザードンが呟いた言葉に私たちは沈黙してしまう。

笑って同意したのは私の肩に座るエンペルトだ。



ソウヤ 「たしかにシャミは、俺と戦った頃に比べるとなんていうか……丸くなったよな」



シャミ 「そういう君は少し有頂天になっているんじゃないかい?」



リザードン 『うんうん、どっちもどっち』



ソウヤ 「そうかぁ? 俺はいつもどおりのつもりだぞ?」



エンペルト 『いや、違うな。我らと戦っていた時のお前はそんなに余裕はなかった……今じゃシュンと毎日のように喧嘩の馬鹿騒ぎ……それがあの世界ではあったか?』



エンペルトの言葉を聞くとソウヤは食べるのをやめて、少し考える仕草をした。

エンペルトの言葉に言い得て妙を得たのか、少し微笑して顔を上げて天を仰いだ。



ソウヤ 「たしかに……携帯獣遊戯はあれはあれで、生きる実感もあった。今の生活とはまるで違うけど、辛かったり楽しかったりもした、ミルやレンがいたしな」

ソウヤ 「でも、この世界が居心地よくなっているのも事実……毎日シュンとは喧嘩しているけど、あいつのことは認めてる。ネロさんはおっかないし、スズさんはよくわからないし、モトキはなんか和むし……皆、皆皆やっぱりかけがえのない仲間で家族……」



シャミ 「……ふふ、私も何か頂こうか」



ソウヤ 「おっ、だったら食うか? ケバブ」



シャミ 「食いかけじゃないか、遠慮するよ」



ソウヤはそう言って私に食いかけのケバブを差し出すが、私はそれを丁重にお断りする。

たしか……私の方が年上のはずなのだがな……どうもソウヤには子供扱いされている気がする。

見た目の問題か?









…………。









モトキ 「でてこい、トロピウス、ラプラス、アゲハント!」



トロピウス 『二度目ぇ? どうしたのモトキ~?』



俺は城の前で解散すると、街の外の森の中へとやってきた。

突然召喚されたトロピウスたちはどうしたのかと首をかしげている。



モトキ 「特訓だ! 特訓! 維持でも最下位脱出するぞ!」



トロピウス 『えぇ~、無理だよぉ、そんなにすぐに強くなれるのなら苦労しないよぉ』



モトキ 「無理でもやるんだよっ!」



アゲハント 「……一体どうしたわけ? モトキの実力がイマイチなのは今に始まったことじゃないでしょ?」



うぐ……その言葉は俺のガラスのハートに突き刺さったぞアゲハント。

ダメージが大きいぜ、これは。



ラプラス 『たしかに、モトキは大会にでてもそれほど実績を残している訳じゃありませんし、ラスフォルトの皆さんと比べているのなら筋違いでは?』



モトキ 「ラプラスさぁ~ん、もうちょっとさぁ、歯に衣着せようよぉ……そんなストレートに言われると……まじ……傷つくから……」



俺は半泣きで地面に蹲る。

さすがにまずいと思ったか、トロピウスがフォローに入ってくるが、すでに俺のガラスのハートは粉々に砕けたよ。



トロピウス 『だ、大丈夫だよぉ! モトキはもっともっと強くなれるから!』



モトキ 「ふ、ふふふ……ふふふふふ……」



アゲハント 『あれ? モトキが壊れた?』



俺はなんだかおかしくなった。

あまりに笑いがこみ上げてもう……狂おしい。



モトキ 「あっはっはっはっは! ああ、そうだよ! 作品は一度消滅するし、実力は問答無用で最下位だし、あげく他の皆の個性が強烈すぎて俺主人公なのに地味キャラ扱いだよっ!?」



ラプラス 『お、落ち着いてくださいモトキ、後メタ発言はもっと控えるように』



俺はもう何がなんだか分からなかった。

ああ、これはきっとそうだ……主人公として作品が作られるはずだったのに永遠に主人公になれない主人公(次)も同じ気分だったに違いない。

俺が何をしたと!? 俺はちゃんと頑張っているよ! バトルだって毎回本気で頑張ってるよ!

参加作品の皆が強すぎるんだよ!



モトキ 「ちくしょーーっ! 下克上だぁ! こうなりゃシュンだろうがネロだろうが超えてやらぁ!」



トロピウス 『教官呼び捨ては死亡フラグだよぉ』



アゲハント 『ていうかシュンさんからネロ教官までって、卑屈なのか望み高いのか……』



ラプラス 『あの、だから皆さん、メタ発言は程々に……ッ!』



もう、訳わからねぇ!?

これはあれか!? 俺はカオパニ内では(笑い)なのか!?

畜生! 認めてたまるか!



モトキ 「とりあえず手っ取り早く新技開発で――!?」



と、そんな風に訳の解らん方角で盛り上がっている時にだ。

突然草むらから一匹のポケモンが飛び出し、襲いかかってくる。



ハブネーク 「シャーーボックッ!!」



モトキ 「うおっ!? は、ハブネーク!?」



突然草むらからアナコンダもビックリの大きさのハブネークが襲いかかってくる。

慌てて距離を離す俺たちだが、ハブネークは割れた舌をチロチロさせて品定めするように俺たちを眺める。

チロチロと刀のように研ぎ澄まされた尻尾は一撃刺されば十分致命傷に至りそうな危険性をはらんでいる。



ハブネーク 「! しゃあっ!」



ハブネークは獲物見定めたのか、突然俺に襲いかかってくる。

ていうか、俺ぇ!?



モトキ 「ラプラス、『みずのはどう』!」



俺は慌ててラプラスに命令する。

ラプラスは待っていましたと言わんばかりに、口から『みずのはどう』をハブネークに浴びせると、ハブネークはひるんで態勢を崩す。

俺はその隙にトロピウスの後ろまで下がり、臨戦態勢を整えた。



ハブネーク 「ッ! シャッ!!」



ラプラス 「!? ああっ!?」



ハブネークはその体躯を活かし、想像以上に離れた位置から『ポイズンテール』をラプラスに浴びせる。

嘘だろ……6メートルは離れていたぞ!?



トロピウス 『まずいよ! あの射程だったら、ここも届くよ!?』



モトキ 「わかっている! アゲハント、『サイコキネシス』!」



アゲホント 『後でポフィンしこたま頂くわよっ!』



アゲハントは空中をヒラリと羽ばたき、ハブネークを睨みつけると、『サイコキネシス』を使う。

『サイコキネシス』の呪縛に囚われたハブネークは空中に浮き、じたばたするが動くことは出来ない。

誰もがこれは決まった……そう思った……だが。



ハブネーク 「! シャアアアッ!!」



普通……毒タイプが炎技を使うと予想するだろうか?

なんと、そのハブネーク、口だけアゲハントに向けると『かえんほうしゃ』をアゲハントに放った。

これはまさに予想外、アゲハントは見事に黒焦げに燃やされてしまい、地面に落ちる。



ラプラス 『あらま、アゲハントさんが一撃で』



トロピウス 『どうしようトモキ!? 僕炎も毒も苦手だよ!?』



モトキ 「わかっているって! ああもうラプラス、少し時間を稼いでくれ!」



ラプラス 『了解しました』



俺は急いで魔法の詠唱に入る。

悔しいが、俺たちは今野生のポケモンにさえ手こずる程の強さでしかない。

そうだろう……他の皆に比べたら俺は弱すぎる……。

だけど、それでも俺たちはやるしない。

だめならだめで補いあって、戦うしか無い!



モトキ 「於いてありや草乱よ、地の理、緑の生借りて羽ばたきませい! 草乱崩汽!」



俺は杖を持って、踊るように言葉を紡ぎ、呪文を唱える。

言霊に反応した、森を覆い茂る雑草たちは急に沸き立ち、目の前の標的めがけてまるで嵐のように雑草たちが乱れた。

ハブネークは戸惑、どうしていいかわからなくなる。

この魔法は攻撃じゃない、森くらいに自然が茂ってないと使えないが、相手を撹乱するための魔法。

無数の自然が、対象に襲いかかり、相手の視覚、聴覚、嗅覚を奪う。



俺はハブネークが戸惑っている隙にトロピウスに命令を出した。



モトキ 「トロピウス、『エアスラッシュ』!」



トロピウス 『わかったよ! いっくよぉ!』



トロピウスが羽ばたくと、周囲を巻き上げてトロピウスの巨体が宙を浮く。

ある程度の高度を維持すると、トロピウスは雑草の嵐の中で戸惑うハブネークに圧縮した空気の一撃を放った。



鎌鼬現象を呼び、相手を切り裂く『エアスラッシュ』は視覚を奪われたハブネークには回避不能。

あえなく、その体を切り裂かれハブネークは地面に倒れた。



モトキ 「や、やったか……?」



ハブネーク 「は、ハブネェ~……」



俺は倒したかと思い近寄るが、ハブネークは戦う体力こそないものの、ゆっくりと立ち上がった。

まだ意識があるのかと、そのタフさに驚いたが……俺はひとついいことを思いつく。



モトキ 「なぁ、ハブネーク、お前俺と一緒にこないか?」



トロピウス 「え? モトキ……?」



俺はこのハブネークの強さが羨ましいと思う。

同時に、こんな強いポケモンと一緒にいれば、きっと皆にもっと追いつけると思う。

勿論ハブネークが入っただけで、勝てるとは思えないけどそれでもこれは有益なことだ。



ハブネーク 「……?」



ハブネークは不思議そうに首をかしげた。

えと……言ってる意味、わかってるよな?



モトキ 「えと、俺はモトキ……よかったら俺と……」



ハブネーク 「シャアッ!」



モトキ 「一緒に――オブッ!?」



ハブネークは突然尻尾で俺をなぎ払って森の中へと消えてしまう。

うう……痛かったぞマジで。



アゲハント 「あ、あんた……やっぱり(笑い)だわ」



厄日だ……俺はそう思いながら地面に倒れた。









……………。









シュン 「――あ」



スズ 「……あ」



城の前で解散した僕は適当に城下町を散策していた。

ソウヤに一緒に来るかと誘われたけど、誰が好き好んであんなヤツと一緒に行動するものかと内心思いつつも、丁重に断っておいた。

というわけで、一人気ままに城下町を眺めながらゆっくり散策していたわけだけど、どういうわけか目の前に迷惑な人が見えてしまう。

しかも向こうも気づいてしまったらしく、無視することが事実上できなくなった。



シュン 「あれ? こんなところでどうしたんですかスズ『さん』?」



スズ 「ふん、散策だよ、シュン『君』」



……だめだ。

やっぱりこいつを見るとムカつく。

理由はないけどムカつく。

絶対! 死んでも! こいつとは! 仲良くできない!



シュン (て……向こうも考えているだろうなぁ)



いつもの僕ならまずはあいつを貶していると思う。

でも、今日の僕は少し違った。

こいつのことが大っ嫌いなのは変わらないけど、少し大人になったのかな……いつものようには接しない。



シュン 「ふん……お互いやることがない訳だ」



スズ 「……」



皮肉だが、お互い暇なのは確かだろう。

元々アカネもいないのなら僕にはやることがない。

スズにとってもカナズミ学園に通っていた頃に比べるとなにもやることがないだろう。

仲直り……する気は全くないけど、百歩譲って『仲魔』なんだし付き合ってやるか。



シュン 「……どうしたの?」



スズ 「……いつもと違うな」



スズが何を言いたいのかはよーくわかっている。

でも、大人である僕はここは大人の対応をしたいのだ。

いつもいつも喧嘩するのはもうソウヤだけで十分。

ていうか、こいつはやっぱり敵だ。

絶対仲良くしたくない。

さようなら、さっきまでの大人な僕。



シュン 「ふん、ムッツリ男に付き合うのも馬鹿らしいだけだよ」



スズ 「ふん、相変わらず口の減らない子供だな」



シュン (ふん! どっちが子供だが……お前の方がよっぽど子供っぽいくせに!)



僕は表情には出さないが、密かな殺意をいだいてスズに背を向ける。

ああ、不愉快だ、さっさと屋敷に戻って寝よう。

僕はそう思った……ところがスズがちょっと意外な行動に出てくる。



スズ 「……一緒に行かないか、お前と少し話がしたい」



シュン 「……っ!?」



それはあまりに予想外だった。

まさに犬猿の仲である僕にスズから声をかけただと。

あまりの予想外さに僕はつい固まってしまう。



スズ 「? どうした?」



ション 「お、おまえなんかと一緒に行くかバーカ!!」



僕はそう叫んで、逃げ出すようにその場から失せた。

正直あまりにスズの予想外の言動に、僕の頭のキャパシティが限界を超えて、ついいつも通りの行動をとってしまったのだ。









…………。









レイクリッド 「シズク……私はあなたや父を奪ったエリュクスを許せない……だけど、私が感情的に動くことは許されない」

レイクリッド 「どうか、この国を見守っていてください……シズクさん」



私は城のテラスから夕日の沈む地平線を眺めていた。

できることならば……戦いは避けないといけない、私情は挟むな。









第19話 完

テーマ : ポケモン
ジャンル : ゲーム

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Author:KaZuKiNa
KaZuKiNaといいます。
小説書いたり、ゲームプレイしたり。
あ、熱帯魚とかも飼ってます。
色々、自由気ままにやってます。

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