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9つの星の元に 第2話『月』―03


「え!? ちょ、ちょっと!?」
「デイズさん!?」

「!? 待て貴様っ!!」

俺は全速力で月の都市を走り抜ける。
とにかく一目散に、その場所から。

俺は街を縦横無人に駆け、狭い路地裏へと逃げ込んだ。

「・・・クッ!?」

俺は両腕を抱えて、ガタガタと震えていた。
怖い・・・どうしようもなく。

「はぁ・・・はぁ・・・い、いきなり逃げるんじゃないわよ」

「危うく見逃す所だったぞ」

「ふぅ・・・でもなんとか追いつきましたね」

俺がひとり震えていると突然、婦警さんたちが現れる。

「あ、あんたら・・・」

「なんでいきなり逃げたの? 説明くらいして欲しいものね」

婦警さんが説明を求めてくる。
だが、俺は答えられない。
俺はただ、俯いて黙っていた。

「黙っていてはなにもわからんな・・・どういうことだ?」

「――そのことは、ゆっくりとこっちが聞かせてもらおうか?」

「!!?」

突然、婦警さんたちの後ろからさっきの二人組みが現れる。

「あなたたちは銀河連邦の者ね、それも宇宙難民課の」

婦警さんが男たちを睨みつけてそう言う。

「そうとも、失礼だがあんたたちの身分を証明してもらおうか?」

「あんまりいい仕事しているとは思えないわね、街中で射殺なんて」
「まぁいいわ。私はテラノ・アスカ、銀河連邦所属交通安全課よ」

「婦警さんか、へへ良い体してるねぇ後で俺たちと付きあわねぇか?」

「生憎公務執行中なんでね」

婦警さんはいやらしい顔に明らかに嫌な顔をして断る。

「さて、そっちの三人は・・・?」

「答える義務はない」

そう言ったのは軍人さんだった。

「なに? テメェ上等だ? 俺たち軍部に逆らおうたぁ死ぬ気かぁ?」

「やってみろ。貴様らただの人間が俺に敵うものか」

「やろぅ!! 打ち殺してやる!!!」

「――まってください」

一触即発の雰囲気の中、突然ほっそりとした女の子の声が聞こえてきた。

「ああん!? 誰だっ!?」

二人の男の更に後ろ。
そこには一人の少女が立っていた。
150センチあるかないか位の低い身長。
オレンジ色の着物に身を包み、セミロングの黒い髪の毛が美しい、14~5歳の少女だった。

「こんなところで無闇な喧嘩は双方の得にならないと思います」
「どうか、ここは私に免じてお下がりくださいませ」

「ああん!? ざけんなよ嬢ちゃん? 俺たちが引き下がるわけねぇだろ!?」

二人は少女相手にメンチを切り、少女を威嚇する。
しかし少女は臆することはなく、逆に宥めるように。

「私のお願いでは聞けませんか?」

ふと、少女の目を見てしまった。
その目は琥珀色に輝き、まるで汚れのない綺麗な瞳。
思わず吸い込まれてしまいそうな・・・。

「・・・!? あ、ああ・・えと・・・その」

突然、男たちの態度が変わる。

「こんな所で喧嘩なんて、私悲しくなってしまいます・・・」

「わ、わかったよ・・・嬢ちゃんに免じてここは引いてやる」

「お、おう・・・し、しかたねぇ」

何故か、男たちはそう言って引き下がってしまった。
さっきまでアレだけ荒れていたのになぜ?

少女は男たちが去ると、ニッコリと笑って俺たちに近づいてくる。

「大丈夫ですか?」

「え? ええ、あなた何者? まるで人が変わったようにあの人たちを退散させちゃったけど・・・」

婦警さんが不思議そうにそう聞くと少女は微笑を浮かべて、ふふっと笑う。
その様はとても可愛らしくて思わずドキっとしてしまう。

「私は『ヴェヌス・オーソン』。すぐ近くの劇場で劇の団員をやっています」

「オーソンさんですか」

「ヴェヌでいいですよ、皆からはそう呼ばれてますし」

少女はそう言って微笑む。
なんという、すごい優しい微笑だった。

「ふふ、よろしかったら劇場に足を運んでください。私すぐそこのツクヨミ会館でやってますので」

「え? あ、ああ」

「ん・・・でも悪いけど、こっちは仕事中だしねぇ」

なんとこんな時に婦警さんは仕事を持ち出してくる。

「婦警さんは、来るの嫌ですか・・・?」

ヴェヌさんはそう言って婦警さんの顔を覗き込む。

「え・・・? あ・・いや・・・その・・・」

「きて・・・くれますよね?」

「え・・・ええ、そうね・・・」

突然、婦警さんが顔色を変える。
それを聞くとヴェヌさんは嬉しそうに。

「それじゃ、私はもう行きますね、是非見に来てくださいね♪」

ヴェヌさんはそう言って嬉しそうにパタパタと会館の方へと走っていった。

「随分な態度の変化だな」

「自分でも不思議・・・なんていうか、あの子の目を見たら断れなかったのよねぇ・・・?」

「目を見たら?」

婦警さんは不思議そうに首を傾げていた。

「まさか・・・」

「どうした、軍人さん?」

「・・・いや、なんでもない」

軍人さんは何か思いついたようだが、首を横に振ってなんでもないと言う。

「それよりどうしてあなたは逃げたの?」

「・・・答える必要があるのかよ」

婦警さんは今更(?)そんなことを突いてくる。
俺はそれには答えない。
答えることが出来ない・・・理由があるからだ。

「・・・もう、何を隠しているのか知らないけど、いつか話してもらうわよ?」

「・・・いつか、な」

俺たちはそう言って、とりあえず狭い路地裏を出て、街中へと戻るのだった。




テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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小説書いたり、ゲームプレイしたり。
あ、熱帯魚とかも飼ってます。
色々、自由気ままにやってます。

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